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高校入学式 式辞

2020年 04月08日
  • # 高等学校
  • # お知らせ

入学式は、規模縮小・時間短縮・教室にて実施しました。

式辞

本日、ここに、第36回入学式を迎え、学校を代表して式辞を申し上げます。 

ただいま、513名の入学を許可いたしました。皆さんは高校入試という試練を乗り越えて、晴れて東京農業大学第三高等学校の生徒となりました。入学おめでとうございます。

皆さんの入学をお祝いし、学校をあげて歓迎いたします。

新型コロナウイルス感染症拡大防止のために規模を縮小した形での入学式となりましたことお詫び申し上げます。 

本校は、本年で創立36年目を迎えます。この間、卒業生15,000名を超え、政界・スポーツ・法曹界など各界で活躍しております。部活動においても、陸上競技部・野球部・剣道部・弓道部・応援団チアリーダー部など、多くのクラブがこれまでに全国大会や関東大会へ出場し、文化部でも全国大会・関東大会での入賞経験があるクラブがあります。

卒業生たちは、「文武両道」の道を邁進し、現在の素晴らしい校風を創り上げてくれました。本校の一層の発展と、新たな歴史を築き上げていくのだという気概を持ち、一人ひとり、自らの理想の追求に全力をあげてください。

さて、新入生の皆さん、皆さんは今日から3年間の高校生活が始まります。高校生活三年間は、それぞれの人生の基盤づくりという面で大切な期間であります。皆さんの人生の方向は、本校の3年間で決まるといっても過言ではないと思います。大切な高校生活のスタートにあたり皆さんに2点お願いいたします。

第1に「目標を定め、その達成のためには、どう行動しなくてはいけないか、行動するために何が必要かということを、しっかりと考え、準備したうえで突き進んでほしい」ということです。 

学習・部活動・日常生活など様々な場面で、目標を定めて、行動していくということは当たり前です。

本校卒業生の吉田祐也さんが、今年1月から2月にかけてマスコミをにぎわす大活躍をしました。吉田さんは本校在学中に陸上競技部に所属していました。大学進学後も競技を続け、今年1月の箱根駅伝に4区で出場し、区間1位かつ区間新記録を出し、所属する大学の総合優勝に大きく貢献しました。さらに、吉田さんは、箱根駅伝の約1か月のちの2月初旬に別府大分毎日マラソンに出場、初マラソンながら2時間8分30秒で3位という結果を残しました。初マラソンの日本学生記録にはわずかに及びませんでしたが、マラソン界からも高い評価をいただきました。吉田さんは、マラソンゴール後のインタビューで、「駅伝とマラソンは違う、だからこそ、充実した準備をした。だから自信を持って走れた」と答えていました。目標達成に向けての準備の大切さを簡潔に表現したその言葉がとても印象に残っています。これからの高校生活3年間を歩んでいくうえで、先輩の姿勢を1つの模範にしてほしいと思います。 

第2に「目標を定めて挫折しそうになった時、それを乗り越えていく力強さを身に付けてほしい」ということです。 今からおよそ60年前、第35代アメリカ大統領ケネディは、アメリカの国家目標として、世界で初めて人類を月面着陸させると宣言し、こう述べました。「われわれは1960年代が終わる前に月へ行く。それが困難であるからだ。そしてわれわれがその挑戦に勝つつもりでいるからだ」。つまり「困難、だからこそ挑む」ということです。その計画は、当時の国際社会では実現することはたいへん厳しいものと思われていましたが、1969年にアメリカは見事人類による初めての月面着陸を成功、実現しました。高校在学中に皆さんもそれぞれの思いの中で目標を定めても、その達成が困難な場面に遭遇するかもしれません。その時はぜひケネディの言葉「困難、だからこそ挑む」という言葉と姿勢を思い出し、困難を乗り越えていく力強い気持ちを高校生活で養ってほしいと思います。

まさに今、新型コロナウイルス感染症拡大という地球全体で乗り越えなければならない大きな困難に直面しております。

新入生の皆さん、先の見えない不安感に押しつぶされることなく、ともに打ち克っていきましょう。

次に本校の教育理念についてお話いたします。本校の教育理念は、「不屈」「探究」「信頼」という3つのことばです。これらの言葉を兼ね備えた人間こそが我々教職員が育てたい生徒像でもあります。「不屈」「探究」「信頼」は、東京農業大学の生みの親、榎本武揚先生の生き様を三つの言葉に抽象化したものです。榎本武揚先生は青年期からオランダ語、化学、蒸気機関の仕組みなどを学び、オランダ留学の折には国際法、砲術などを習得し、幕末から明治期にかけての時代の先端を自らの知的好奇心と先見性の中で突き進みました。明治維新後は政治家・外交官としていくつもの枢要な職務を担ってきた人物です。特に、教育理念の1つである「探究」は2022年には高校の授業の教科名として設定されるなど、今後の社会の中で身に付ける必要がある素養の一つとされます。今から36年前に定められた本校の教育理念が、今もなお新鮮に心に響いてくるのは、榎本武揚先生の生き様がいつの時代でも通用するものと思えてなりません。本日の入学式 式次第の表紙の裏のページの下のほうをご覧ください。本校校歌の歌詞が掲載されています。その歌詞にも「不屈」「探究」「信頼」という教育理念への思いが散りばめられております。

結びになります。今、感染症拡大防止のため、そして皆さんと皆さんの周りの大切な人たちの健康を守るために、入学式を時間短縮・規模縮小とせざるを得ない社会状況の中にはあります。しばらくしてのち、感染症拡大が落ち着き、日常生活を取り戻すというその日を楽しみに、敢えて皆さんに伝えます。新入生の皆さん一人ひとりが明るく楽しく前向きに、そして元気に高校生活が送られますよう祈念し、式辞といたします。

令和2年4月7日